2023/02/08
【報道発表のお知らせ】共同研究の成果によりナマコの中間育成礁「ナマコのゆりかご」を開発
日本産(特に北海道産)マナマコは世界でも最高品質を誇り、重要な輸出水産物ですが、一方で、資源の枯渇が問題視され、人工種苗放流を通じた精力的な資源回復を目指した取り組みが進められています。水産土木チームと海洋建設㈱は、マナマコの種苗放流効果の向上に資する技術開発を目的とした共同研究を通じて、放流後の生残や成長を大幅に高めることを可能にする中間育成礁「ナマコのゆりかご」を開発しました(写真参照)。
本礁は、共同研究の成果として世界で初めて明らかにした食害生物(オオヨツハモガニ: Pugettia ferox)*やヤドカリなどの種苗放流場となる沿岸域に生息する捕食者(食害生物)からナマコ種苗を保護する機能を有するほか、物理的なストレスの軽減や餌料環境の面でも最適化した内部構造となっています。種苗生産された稚ナマコ(1cm~)を漁港内静穏域など適地に設置した当該礁内に放流することで、早い場合では半年程度で高い放流効果が期待できるサイズ(5cm前後)まで高生残率(約70~100%)かつ無給餌で成長する事が確認されています。
今回開発した「ナマコのゆりかご」は、種苗放流場・中間育成場としての非常に優れた効果が期待できるため、ナマコの資源回復、生産量増大に寄与し、浜や漁業地域全体の活性化に貢献する技術であると考えられます。
本件については2023年2月8日付で以下のとおり報道発表されたことをお知らせ致します。
https://www.ceri.go.jp/data/files/20230208.pdf
*論文情報
掲載誌:Frontiers in Marine Science(Doi: 10.3389/fmars.2021.684989)
論文名:Predation of juvenile Japanese sea cucumber Apostichopus japonicus by kelp crab Pugettia ferox
著 者:Nobuharu Inaba, Takuma Matsumoto, Hiroshi Kawai, Yuji Anaguchi, Kouhei Matsuno
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.684989/full